第4回 水廻り―『浴室に潜む危険』
暖められた部屋から一歩出ると、思わず「ブルブルッ」と震えてしまうことはありませんか?
急激な温度変化から体の血管は収縮し、熱を逃がさないように防御します。この時、血圧が急激に上昇し、脈拍が速くなったりします。これが「ヒートショック」です。
ヒートショックは特に冬場の浴室・脱衣室・トイレ・廊下などで、高齢者や高血圧の方に起こることが多く、心疾患や脳障害など深刻な事故につながるケースもあります。
家庭内事故の約30%は“浴室”で起きており、その多くが「ヒートショック」によるものだそうです。
死亡事故につながるケースも多く、その数は、交通事故死(年間約10,000 人前後)よりも多い、年間約14,000 人にも上ります。
そこで今回は “浴室”でのヒートショック対策について考えてみたいと思います。
◆浴室でのヒートショック対策
脱衣室や浴室と居室や湯の温度差が大きいと、ヒートショックが起こりやすくなります。入浴前に浴室をできるだけ暖め、居室と浴室の温度差を少なくすることがポイントです。また、ヒートショックを防ぐためには、入浴方法にも気をつけたいものです。
簡単にできる浴室の暖め方と入浴方法をご紹介します。
●シャワー給湯
おすすめしたいのが「シャワー給湯」です。熱めのお湯をシャワーで湯船にためる方法ですが、高い位置から給湯することで湯と空気の接触面が広がり、浴室の温度が効果的に上がります。湯船にたまるころには湯温もほどよく下がり、熱すぎる湯につかる危険も避けることができます。シャワー給湯で浴室温度は15分間で約10度上昇させることができるそうです。
●お湯の温度は低めに設定する
浴室での事故は、入浴温度41 度を境にして死亡者数の増加がみられるそうです。
浴槽に湯を張る際は、41 度以下にすることを心がけましょう。
●高齢者や血圧の高い人は一番風呂を避ける
沸かしたてのお風呂は熱くても、浴室は十分に温まっていないことが多いものです。
その室内の温度差が高齢者や高血圧の方の体にはこたえます。暖かな浴室で適度に温度が下がった湯につかることができる二番湯が理想的です。
●湯のつかり方
高齢者や高血圧の方におすすめなのが半身浴です。心臓や肺を水圧の負担から守ります。
ヒートショックを防ぐには、体に感じる温度変化を抑えることが大切です。
一般的な一戸建ての住宅では、外の冷え込みがダイレクトに暖房のない部屋の室温に影響します。時には居室と浴室の温度差が10℃以上になることもあります。
この温度差を解消するために、最近では、天井から温風を吹き出し、脱衣室と浴室を同時に温める温風暖房や、湿気も取り除く浴室暖房乾燥機、脱衣室用壁掛けヒーターなど様々な暖房設備があります。
タイル張りの浴室で寒さやカビなどが気になる方は、システムバスの導入とあわせて検討してみてはいかがでしょうか。入浴前の予備暖房で、浴室がポカポカになるので、一番風呂も快適です。
また、これから新居を計画するなら、生活空間全体を温かくする高気密・高断熱住宅をおすすめします。
万が一、浴室で発作を起こしてしまった場合は、発見がおくれると非常に危険です。
高齢者がいらっしゃるご家庭には、浴室と台所間で通話できるインターホンを設置することをおすすめします。給湯器のリモコンにインターホンが内蔵されたものもありますので、浴室をリフォームするならご検討ください。